私はパソコン好きなので、家でもよく弄りまわしているのですが、先日初めて経験した不具合があったので、対処の顛末を書いていこうと思います。
端的に不具合対処の手順が知りたい方は「キーボードの不具合対処まとめ」に飛んでください。
キーボードに発生した謎の入力現象
家で使っているパソコンはデスクトップタイプであり、キーボードにはRealforceという静電容量無接点方式のものを使っていました。
このキーボードは非常に入力が軽く、打鍵音が静かなうえに耐久性にも優れているので、プログラミングやブログ執筆など長時間のタイピングにはもってこいのものでした。
ただし、高性能な分値段が2万円以上と高価なのが欠点といえば欠点です。
しかり、ある日からミスタイプが目立つようになりました。具体的には、押していないはずのキーが押されたり、逆に押したはずなのに反応しないキーが出てくるようになったのです。
???
なんだか最近入力がおかしいような…?
よくよく調べてみると、手を近づけただけで意図しないキー入力が発生していることに気が付きました。
使っていたパソコンの仕様
私が使っていたパソコンの仕様は下記のとおりです。
- 省スペース型デスクトップパソコン
- デュアルディスプレイ(HDMIメイン+Mini-DisplayPort小型サブモニター)
- Realforce有線キーボード
- トラックボールマウス
- USB接続型サウンドボード
- 有線LAN接続
- オンボードグラフィック
- Windows10 Home 22H2
この中に誤作動の原因があったのですが、それは後程。
一通りの処置対策
PCトラブルにはある程度慣れていたので、ひとまず問題の切り分けをするべく、対処を開始しました。
- 変な機能(CapsLock,Insert等)がオンになってないか確認
- PCの再起動
- USBの再接続
- ウィルススキャン
- ドライバのアップデート、再インストール
- 違うポートへの接続
上記の対処は大体の場合に通用するものです。
しかし、今回のケースはここまでやっても症状が再現しました。
一通りの対処はやったけど、まだ駄目か…
キーボードの故障かな?
キーボードの不具合を疑う
静電容量式キーボードは、タッチパネルのように静電容量の変化を検知して入力する方式です。機械的な接点がない分、耐久性が優れていますが、静電気による誤作動をする場合があるようです。
帯電したPCでは、突然電源が落ちたり、外部装置の認識をしなくなるような不具合が認められることがあるようです。
そこで、静電気の可能性を考慮してPCの電気除去を行いました。
具体的にはPCの電源を切り、すべての有線接続を切った状態でしばらく放置し、再度電源を入れるのです。
しかし、これでも症状が再現しました。
?????
やはりキーボード自体が故障しているのかな?
電気除去の第2段階として、PCの電源を切り、一度筐体を開けて分解し、その状態で一晩おいてから組上げ、再度電源を入れてみましたが、それでも症状は再現します。
ちなみに、中の部品を触るときは静電気に注意してください。
バチっといった瞬間、部品が本当に壊れてしまう場合があります。
キーボード故障の可能性を加味してキーボード側も分解してみることにしました。ちなみに、Realforceは割と簡単に分解できる構造となってます。
しかし、分解してみても特にゴミが詰まっていたりするわけでもなく、基盤的にも異状はなさそうでした。再度組み立てて接続しましたが、症状は変わりません。
仕方がないので、別の有線キーボードを購入してきました。
購入したのは一般的に用いられているメンブレン方式のもので、Realforceのように静電気による誤作動は発生しないはずです。
新しく買ってきたキーボードを接続したところ、触れただけの誤入力こそ発生しなくなりましたが、今度はキーの連打現象が発生するようになりました。
基本的に、PCのキーは押しっぱなしにしても、1度入力した後の1秒程度は待機し、そこから連打が始まるようになっているのですが、それが無いのです。
例えば、「TEST」と入力しようとすると、普通のペースで入力しようとしても「TTTTTTEEEESSSSSSTTTT」という感じで、最初から連打状態になってしまいました。
一文字ずつ入れる際には、瞬間的にキーを押さないと複数入力されてしまいますし、多く入った文字を消そうとするときもバックスペースが連打されているので、思ったように入力ができないのです。
えぇ…
なんだこの症状?
なお、応急的に接続したBluetoothキーボードを使用した際には異常が発生せず、通常の入力ができるようでした。
無線だと症状が発生しないということは電気系の不具合な気はするけど、
まだよくわからないな…
PCの設定不具合を疑う
キーの連打について、当初PCの設定を疑いました。
まずは「コントロールパネル」→「キーボード」を辿ると、「キーボードのプロパティ」の設定を変更することができます。
ここでは「表示までの待ち時間」「表示の間隔」を変更することができます。
しかし、ここを確認しても特に設定がおかしくなった様子はありませんでした。また、あえて値を遅く設定してみても不具合が改善されません。
次に確認したのは、レジストリの設定です。
レジストリの変更は、間違えるとPCに不具合をもたらす場合があります。
そのため不慣れな方は触らない方がいいです。
レジストリエディタを起動後、
「HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Accessibility\Keyboard Response」と掘り下げていきます。
すると、そこにはいくつかの設定項目が出てきます。
「AutoRepeatDelay」は、最初の1回でキーを押しっぱなしにした際に連打が始まるまでの時間です。単位はミリ秒なので、例えば1秒に設定する場合は「1000」を入力します。
「AutoRepeatRate」は、連打速度のようです。
「BounceTime」は、逆に連打されても検知しない感覚です。チャタリングを起こしているようなキーボードを使う際に数字を大きくすると誤入力が抑制されるようです。
その他の値については、調べてもよくわかりませんでしたので、今回は特に触れません。
さて、一番関係のありそうなAutoRepeatDelayの値ですが、初期値である1000が入ってました。そして、BounceTimeを設定することでひとまずは連打を抑制できたように見えましたが、今度は連打の必要なタイミングで遅延が発生し、また違和感のある操作になってしまいました。
当然ながら設定を変更した覚えがないので、レジストリの値は初期値であり、ソフトウェア的には問題がないことがわかりました。
連打はハードウェア的な要因によるものということが何となく見えてきました。
他のPCにキーボードを繋いでみる
ハードウェアに原因があることは何となくわかってきましたが、まだ特定には至ってません。
そこで、今度はキーボードを別のPCに接続してみました。
すると、入力には特に異常が発生せず、手を近づけただけで異常入力になったり、連打現象も起きなくなりました。
うーん、どうやらキーボードの異常ではないみたいだ。
とすると、PC側のハードウェアに異常?
この時点で、PCのマザーボードの異常を疑うようになりました。
使っていたPCは購入から5年が経過しており、経年劣化によって電気的な不具合が発生してしまったという仮説を立て、思い切ってPCを買い換えることにしました。
PCを買い換えて問題解決…?
思い切っての買い替えですが、10万円台の大きな出費はやはり痛いものです。
とはいえ、スペックを最新化することができ、OSもWindows11にアップグレードできたので、必要経費と考えるようにしました。
古いPCからデータを移行し、新しいPCで環境構築を行います。
構築作業の際は、ひとまず最小限の構成でPCをくみ上げ、ソフトをいじってました。
この構築作業を行っている際は不具合が発生しませんでした。
やっぱり、PCの経年劣化が原因だったのかな?
手痛い出費だったけど、治ったからよしとしようか。
そうして一通りの設定が終わったところで周辺機器を接続しなおし、作業環境を再構築しました。
そしてしばらくは、一見異常がないような感じでした。
不具合の再来
しかし、平穏は長くは続きませんでした。
PCを買い換えて数日後、いつの間にか異常入力や無反応が再度起きるようになったのです。
最初は気にならない程度と思いましたが、買い換える前と同じ症状になるまで時間はかかりませんでした。
いったい何が起きてるんだ?
キーボードに異常があるわけでもないし、PCも折角買い換えたというのに?
静電容量式のキーボードにおいては、手を近づけただけで異常入力が発生し、メンブレン式でも異常な連打の発生。症状は完全に買い替え前と同じ状態に戻ってしまいました。
仕方がないので無線キーボードを接続して当面をしのぐことにしましたが、折角PCを買い換えたのに症状が回復しないというのには参ってしまいました。
再度、電気的な不具合を疑う
静電容量式のキーボードで発生する異常入力をみて、やはり電気的な不具合があることを疑いました。PCにもキーボードにも異常がなさそうなことを踏まえ、思い至ったのは自分自身の静電気です。
自宅の部屋においては化学繊維のスウェットを着用し、空気も乾燥気味、そしてデスク周りにも帯電しやすそうな素材が多く使われている環境。そして、自分が驚異的な静電気体質なのではないか?ということを思うようになりました。
実際、車から降りた際や猫を撫でた際などにも結構な割合で静電気が発生していました。いよいよPCに影響を及ぼすレベルになったかと思ってしまいました。
そこで、静電気除去グッズを購入し、更に部屋で加湿器を起動することで静電気対策を行いました。
しかし、体感的に静電気は抑えられたものの、無情にも異常入力は解消されませんでした。
静電気というわけでもないのか…
しかし、PCが帯電でもしないとこんな症状出なさそうだけど。
と、アースさせるつもりで苦し紛れにPC本体に触れて入力テストをしてみると…
…あれ?入力が普通になった?
謎の電圧検知
なんと、PCに触れた状態では、今まで起きていた入力の不具合が嘘のように止まったのです。
しかし、手を離すとまた症状が再現します。
???
やっぱり電気が原因?
よくわからないので、電圧検知用のテスターを引っ張り出してきました。
安いものでいいのでテスターを一つ持っておくと、いざというときに便利です。
そして、交流モードのテスターでPC本体に片方の電極をくっつけると、なんと数ボルト程度の電圧がかかっていたのです。
キーボードの入力は電気信号です。この謎の電圧が入力信号として伝わり、悪さをしているということがわかりました。
そして、本体から電気を逃がすことができるようになれば、おそらく問題は解決できると思いました。
しかし、これって漏電ってやつでは?
異常入力の原因
電気的な不具合が原因ということは突き止められましたが、その電気がどこから来ているのか、というのがわかりませんでしたので、周辺機器に目を向けてみることにしました。
そういえば、Windows11をセットアップしている最小限の構成の時は異常入力が起きていなかった。
ということは、セットアップ後につないだ機器に原因が…?
ということで、セットアップ後に追加で接続した機器に目を向け、一つ一つ外しながら動作チェックをしていると…
PCにつないでいたサブディスプレイを切り離したところ、異常が発生しなくなりました。
…なるほど、これが原因だったか
どうやらサブディスプレイの電源コネクタ部分が劣化し、そこから漏電が発生していたようです。
気づいたときは数ボルトの電圧でしたが、放置してさらに悪化し、感電事故につながる可能性もあったと思うとゾッとしました。
対処が終わって
今回の不具合対処のおかげで、PCの買い替えやキーボードの追加購入、静電気対策グッズなどによって出費が随分とかさんでしまいました。
ひとまず、不具合は解決して、その後症状が再現していないのでよしとしました。
PCも新しくなり、図らずも今までより快適な動作環境を手に入れられたから良かった、そう思うことにします。
キーボードの不具合対処まとめ
今回行ってきた様々な対処を最後にまとめておきます。
- 変な機能がオンになってないか確認する
- とりあえず再起動してみる
- キーボードを再接続してみる
- ウィルススキャンを行う
- ドライバのアップデート、再インストール
- キーボードの入力設定(コンパネ、レジストリ)を確認
- PCの電気除去を行う
- PCに接続されている周辺機器を切り離してみる
- 不具合が疑われるキーボードを違うUSBポートへ接続してテスト
- 不具合が疑われるキーボードを別のPCに接続してテスト
- 別のキーボードを接続してみる
- PC内部部品の交換をする
- OSのリカバリを実施する
- PCを買い換える
CapsLockやInsert、ScrollLock,NumLockキーあたりに起因する普段とは異なる挙動が起きていると、不具合と勘違いしてしまうことがありますので、そういったキーを間違えて押してないかをまずは確認してみるといいでしょう。たいていはもう一度押せば戻るはずです。
PCの再起動は、OSやソフトをリセットすることで、単発的に発生した不具合の回復が見込めます。
USBの再接続は、接触不良などによる認識の不具合に効果が期待できます。
ウィルススキャンは、不具合がマルウェアによってもたらされていた場合に効果があります。この際、パターンファイルは最新の状態で行うようにしましょう。
ドライバのアップデート、再インストールは、接続している機器が正常に動作しない場合に改善する可能性があります。
レジストリなどによる入力設定の変更は、チャタリングなどで入力がおかしくなっているキーボードを矯正できます。ただし、入力設定は、よほどこだわりのある人以外は初期設定で十分使えるものであり、基本的には触る必要はありません。また、キーボードに矯正が必要になっている場合は早めの買い替えを検討した方がいいでしょう。
電気除去は、PCが静電気を帯びていることによって発生した不具合を解決できる可能性があります。
周辺機器の切り離しは、不具合の原因がPCでなく、周辺機器にあった場合に効果があります。周辺機器が原因による不具合というのは少なくありません。これを看過すると、PCを買い換えても不具合が再発する可能性が高いです。切り離しを一つずつ行ってみて、様子をみてみましょう。
違うポートへの接続は、接続している端子そのものに不具合があった場合に効果があります。
違うキーボードの使用は、使っているキーボード自体に原因があるときの対策となります。ほかのPCにつないだ時に異状が出なければ、原因はPC側にあると考えられます。
PC内部部品の交換は、PCを構成する機器のうち、メモリやHDDなど、交換のできる部品に不具合が認められた場合に効果的です。キーボードの不具合の際にはなかなか該当しないかもしれませんが。
OSのリカバリは、ここまでいろいろ試しにやってみて駄目だった場合に行う手段です。ソフトウェア、OSに重大な不具合がある場合には効果を発揮するでしょう。
PCの買い替えは、リカバリをやってもダメな場合や、PCを構成する機器のうち、交換できない部品に原因がある場合に行う最終手段です。
このように、不具合が出た場合、その原因が何なのかを特定するために、切り分け作業を行うことが大切です。今回の場合であれば、キーボードに不具合があるのか、PCのソフトウェアに不具合があるのか、ハードウェアに不具合があるのか、周辺機器に不具合があるのか、という感じですね。
正しい原因の切り分けができないと、今回のようにPCを買い換えたところで問題は解決できません。
周辺機器に不具合があることをもっと早く気づければ、出費は抑えられたかもしれません…
似たような症状で悩まれている方の参考になれば幸いです。
今回の所はこの辺で。
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