以前書いた応用情報技術者試験奮闘記の続きです。
この記事では、1度の挫折を含めた受験体験記を書いてます。
尖ったスキルの重要性とIT知識の焼き直し
私は10年近く昔に基本情報技術者試験を受け、合格をもらってはいました。
しかし、大して勉強もせずに臨んでいたので情報系の知識を十分につけられたかといえば、そんな事はありません。
基本情報技術者試験は解答が全てマークシート方式でしたので、運を天に任せる戦術も使えたわけで、当時の試験の手応え的にも、合格できたのはまぐれ当たりだと思ってます。
IT知識の重要性は普段の生活であったり、こうしてブログを書くにあたってひしひしと感じ取ることが多いので、「いつかは」応用情報技術者試験を受験したいと思っていました。
そんなある日、同僚が転勤を控えた時に上司から相談を受けました。
おおジョン、君の同僚が今度転勤するにあたって、出ていく前にその仕事ぶりを表彰してやりたいのだが、彼の働きで何か特記事項みたいなものは思い当たるかね?
彼もそんな時期ですか。彼は仕事に対する知識が豊富で、前向きに業務に取り組んでて後輩にもビシバシと指導してましたね。
うーん、その辺は見ててよく分かるんだが、何か特記事項みたいなものは思い当たらんかね?
たしかに業務に対してかなり熱心に取り組んではいましたけど、それってある意味で当たり前のことなんですね。
特記事項となると、うーん…
同僚は確かに仕事熱心であり、業務に取り組む姿勢は素晴らしいものがあったのですが、特記事項という点では残念ながら思い当たるフシがなかなか有りませんでした。
いくら真面目に仕事をしていても、職場においてはそれは当たり前のことであり、何か尖ったものをもっていないと埋もれてしまうということに気付かされました。
もともとITスキルで職場からある程度の評価は受けていましたが、今回の出来事をきっかけに、更に尖らせてやろうと思い、「いつか受けたい」と思っていた応用情報技術者試験を受けることを決意し、受験を申し込みました。
試験を受けるまでにやったこと
試験を受けると決めてからは、勉強のために参考書選びからスタートです。
選ぶにあたってはまずは近場の大きめな本屋に行き、実際に手にとって中身を読んでみて決めることにしました。
結果として、選んだのはインプレス社の「徹底攻略 応用情報技術者教科書」でした。
選んだ理由は、特典に電子版の教科書が付随しているために出先でも勉強ができると思ったことがあったのですが、たまたま開いたページで
インキュベータとは、もともとは「孵卵器」を意味します。卵を保護して、それを無事、雛になるまで育てる機械です。
アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」や「マギア・レコード」に出てくるキュウべぇも、魔法少女を育てるインキュベータです。
「徹底攻略 応用情報技術者教科書 令和3年度」 555ページ
たまたまこの一文に目が止まった結果、他にも面白い解説がたくさんあると思い、選んでしまいました。
ちなみに、実際は上の表記以外は至って普通の解説しかありませんでしたが、簡潔にまとめられてはいるので、参考書としてはまずまずです。
参考書は約800ページとボリュームがあるので、時間を見つけてチマチマと読み進めていきました。
そして、参考書を2周くらい済ませたところで、今度は過去問にチャレンジです。
過去問については参考書に付属するものも使いましたが、より役に立てたのは「応用情報技術者試験ドットコム」です。
ここには平成17年春からの過去問がまとめられており、ネット上で正答率も管理できるようになっていますので、テキストがない環境でもスマホが使えればいつでも過去問にチャレンジができます。
さらに、午前中の問題に加えて午後の問題も置かれていて、午後試験に向けた準備をするのにも非常に適しています。
応用情報技術者試験の午前問題は、半分くらい過去問から出されますので、過去問を多く解いておくとそれだけ点数を取りやすくなることは確かです。
受験準備とお仕事
試験を受ける2~3週間前になると、IPAから受験票が送られてきます。なお、受験票には顔写真を貼り付ける必要がありますので、準備を忘れないようにしてください。
必要な写真は縦40mm×横30mmの写真1枚です。
極稀に、届いた受験票を開封しないまま当日を迎え、当日慌てて写真を手配したり、ひどい場合は写真を用意しないまま会場で気づく人もいるようです。写真がないと受験自体が認められませんので、届いた受験票は速やかに確認し、準備をしっかり行いましょう。
ちなみに、今どきはスマホで自分の写真を撮影し、データをサービスに送ってコンビニで300円程度で証明写真を作成できます。便利になりましたね。
さて、ここまでの準備を進めていましたが、私の場合は1回目の試験日が近づいてきた時、本業側でなかなかな量の仕事が継続的に降ってきて、早朝出勤・深夜帰宅の生活リズムになってしまい、試験前の数週間で追い込みをかける予定だったのが完全に崩されてしまいました。
加えて、試験会場のある地域が新型コロナウィルス感染症に関する「まん防」地域に指定されてしまったこともあったので、1回目は泣く泣く受験を辞退しました。
なお、受験を辞退する場合には特にどこかへ連絡を入れたりする必要はありません。ただし、いかなる理由でも受験料は返還されませんので注意してください。
泣く泣く辞退したままでは悔しいので、約半年後の試験に向けて体制の立て直しを行います。
次の試験日はおおよそわかっていたので、職場にも調整を行い、なんとしても空けてもらうように話をつけました。
そこからは、参考書を再度読み直し、過去問道場に足繁く通い続けます。
半年間の猶予ができたので、後半はとにかく過去問を解き続けておりましたが、やっているうちに同じ問題に出くわすことが多いとわかってきました。
「この問題、進○ゼミで見たことある!!」
という気分をこの歳になって味わうとは思いませんでしたよ…
最終的に、試験前の段階で過去問道場にあった全2640問中1939問に回答し、正答率は67.5%でした。
応用情報技術者試験の合格ラインは午前午後ともに60%ですので、結構な自信がついた状態で試験に望むことができました。
試験本番
そして迎えた2回目の試験。試験会場はその都度設定されるので、前回とは別の場所でした。
前日のうちに近くまで進出し、ホテルに泊まって勉強して、翌日余裕を持って試験会場に向かうよう予定を組んでみました。
ちなみに、このときに利用したのは「ドーミーイン」系列のホテルでした。値段は比較的リーズナブルですが、充実した温泉やサウナがついていたり、夜鳴きそばが無料で食べられたりと非常に満足度の高いホテルです。興味のある方はこちらで探してみてもいいでしょう(ドーミーインで検索)。
試験当日、もっとゆっくり温泉やサウナに入りたい気持ちを抑えつつ、ホテルをチェックアウトして会場に向かいました。
受験するにあたって、試験のために準備したものは下記のとおりです。
- 0.5mmシャーペン2本
- 消しゴム2個
- 受験票(顔写真付き)
- 腕時計(時刻整合済)
- 参考書(徹底攻略)
- タブレット(過去問道場用)
- 途中のコンビニで買ったおにぎり2個と500mlペットボトル飲料
午前試験はマークシート方式で、全ての分野から80問出題され、試験時間は9:30~12:00の2時間半です。問題数を考えると、1問あたりにかけられる時間は約1分50秒くらいですね。
案の定、半分くらいは進○ゼミ過去問道場で見たことのある問題でしたので、問題文を読んだ瞬間に手が動くようなものも多かったです。
おかげで早めに全部解き終わったので、しっかりと見直しを済ませた上で途中退出して昼食を取り、午後試験に向けて参考書の読み直しをしました。
なお、午前試験と午後試験の間は1時間しか余裕がなく、試験終了後は問題回収で時間がさらにかかることを踏まえると、可能であれば途中退出したほうが午後に向けて余裕を作ることができます。
そして午後試験です。午後試験は下記11分野のうち5問を選択して解答する方式で、記述式になります。なお、情報セキュリティは回答必須問題です。試験時間は13:00~15:30の2時間半です。
- 情報セキュリティ
- 経営戦略
- システムアーキテクチャ
- ネットワーク
- データベース
- 組み込みシステム開発
- 情報システム開発
- プログラミング(アルゴリズム)
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
- システム監査
記述問題の中には、名称を答えるものや記号で答える知識問題のほか、40字程度で説明を求めるタイプの問題が出てきました。流石にこちらは過去問がそのまま出ることはありませんでしたが、直前に参考書で見ていた部分がドンピシャで出てくれたものもありました。
大抵の問題は、よくよく問題文を読んでみると答えになるようなことが書いてあり、その意味ではITの知識というよりは国語の読解力が試されているような気もしました。
途中で詰まりながらも、最終的には全部の空欄を埋め、試験終了です。
試験結果
試験が終わり、帰宅したところでおそるおそる自己採点を行いました。
自己採点は、試験後に解答速報などを上げてくれているサイトの情報を参考に行います。マーク式のものはマークミスさえなければ正誤がわかりますが、記述式に関しては完全一致の答えというのはなかなか難しかったりします。
私の場合は、正解に対してニュアンスが一致していれば配点どおり、大きくハズレてはいないが完全な正解と言い難いものは配点の半分、そうでないものは0点として、割と悲観的な配点で採点をしています。
悲観的な採点であれば、もし正解だったときに点数が加算されてラッキーと思えますので。
楽観的にやると、その逆の現象が起きてしまいます。
その結果、午前試験が65/80(81%)、午後試験が70%程度の正答率でしたので、おそらく大丈夫とは思えるようになりました。とはいえ、まだこの時点では合格が確定したわけではないので油断は禁物です。
情報処理技術者試験の合格発表は試験日から2ヶ月ほど後になるため、とにかく結果が待ち遠しくなるのです。
そうして長いこと経ってやっと来た合格発表日。HPに恐る恐る試験結果を確認しに行きます。
HPには期間限定で合格者の受験番号が示されてます。
さて、私の番号は…?
あっ、あったーーー!!
まるで高校受験の合格発表のような気分でガッツポーズできました。
ひとまず安心したところで、続いて自分の成績照会を行ってみました。情報処理技術者試験においては、合格発表後一定期間に限り成績照会ができます。そこで点数を確認してみた結果、
午前試験 | 82.50点 |
午後試験 | 69.00点 |
以上の結果でした。おおよそ自己採点どおりだったみたいです。
なお、試験の得点分布は下記のとおりです。
得点 | 午前試験 | 午後試験 |
90~100点 | 40名 | 34名 |
80~89点 | 803名 | 644名 |
70~79点 | 4772名 | 2651名 |
60~69点 | 9312名 | 4390名 |
50~59点 | 8694名 | 4009名 |
40~49点 | 6055名 | 2269名 |
30~39点 | 3146名 | 706名 |
20~29点 | 656名 | 162名 |
10~19点 | 32名 | 31名 |
0~9点 | 3名 | 7名 |
合計 | 33513名 | 14903名 |
午前は過去問道場の効果もあったのでしょう。午前試験は比較的上位に位置することができた一方、午後試験はおおよそ平均点クラスであったことが読み取れます。
とにかく、合格をいただけたのでよしとしましょう。もちろんこれで終わりというわけでもなく、引き続き勉強を続けていかないとすぐに置いていかれる分野ですので、これからもコツコツと勉強は続けていきたいと思います。
2022年1月、合格証書が書留で届きました。
こうして証書をいただくと嬉しいものですね。また新たな資格に挑戦するモチベーションにも繋がるものです。
今回の所はこの辺で。
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