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航空無線通信士試験奮闘記1~試験の概要~

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航空無線通信士奮闘記1 スキルの話

航空無線通信士は、航空機や航空局などの無線設備を扱うための国家資格です。

パイロットや航空関係の仕事を目指す人に関係の深い資格ですが、試験科目には無線工学・法規に加え、英語や電気通信術も含まれています。

そのため、単に知識を暗記するだけでなく、「聞く」「話す」といった実技的な要素も求められる、少し独特な試験といえるでしょう。

この記事では、実際に航空無線通信士試験に合格した立場から、資格の概要、取得するメリット・デメリット、試験の難易度についてまとめていきます。

資格の概要

航空無線通信士とは、電波法で定められている無線従事者資格の一つです。

簡単に言えば、航空機や航空局など、航空関係の無線設備を扱うための資格です。

日本無線協会の説明でも、航空無線従事者には「航空無線通信士」と「航空特殊無線技士」があり、航空無線通信士は航空会社のパイロット、地上で無線通信の業務に従事する人、航空交通管制の業務に従事する人などが取得する資格とされています。

ジョンどぅ
ジョンどぅ

名前のとおり、かなり航空分野に寄った無線資格ですね

具体的に法令を持ち出すと、以下のように記されています。

第三条(操作範囲及び監督の範囲) 航空無線通信士部分抜粋

  1. 航空機に施設する無線設備並びに航空局、航空地球局及び航空機のための無線航行局の無線設備の通信操作(モールス符号による通信操作を除く。)
  2. 次に掲げる無線設備の外部の調整部分の技術操作
    • イ 航空機に施設する無線設備
    • ロ 航空局、航空地球局及び航空機のための無線航行局の無線設備で空中線電力二百五十ワット以下のもの
    • ハ 航空局及び航空機のための無線航行局のレーダーでロに掲げるもの以外のもの
  3. 第四級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作
電波法施行令 e-Gov法令検索

ジョンどぅ
ジョンどぅ

・・・よくわからない表現なのでもうちょっとかみ砕いて説明しますね。

まず、「無線設備の操作」には大きく分けて「通信操作」「技術操作」があります。

「通信操作」とは、無線設備を使って通信を行う操作のことです。航空無線でいえば、航空機と航空局・管制機関などの間で音声通信を行うような場面がイメージしやすいでしょう。


一方、「技術操作」とは、無線設備の調整や設定に関する操作です。航空無線通信士の場合、内部を分解して調整するような操作まで広く認められるわけではなく、法令上は「外部の調整部分」に限られる点がポイントです。

以上のことをざっくりまとめると、

航空無線通信士は

  1. 航空機に関係する無線設備によるモールス信号以外の通信操作
  2. 航空機に設置されている無線設備の外部のスイッチ操作
  3. 航空機のための無線設備のうち、空中線電力250W以下のものの外部のスイッチ操作
  4. 3に該当しない、航空機のためのレーダー設備の外部のスイッチ操作

ができるようになる免許ということです。

また、航空無線通信士には、4級アマチュア無線技士の操作範囲も含まれています

4級アマチュア無線技士の操作範囲は法令では以下のように示されています。

第三条(操作範囲及び監督の範囲) 4級アマチュア無線技士部分抜粋

  1. アマチュア無線局の無線設備で次に掲げるものの操作(モールス符号による通信操作を除く。)
    • 空中線電力十ワット以下の無線設備で二十一メガヘルツから三十メガヘルツまで又は八メガヘルツ以下の周波数の電波を使用するもの
    • 空中線電力二十ワット以下の無線設備で三十メガヘルツを超える周波数の電波を使用するもの
電波法施行令 e-Gov法令検索

こちらは「操作」となっていますが、これは「通信操作」も「技術操作」も包括しています。

そして簡単に言うと、

4級アマチュア無線技士は

  • 以下の条件を満たすアマチュア無線局による、モールス符号による通信以外の操作
    • 空中線電力10W以下で周波数が8Mhz以下または21MHz~30MHzを使用するもの
    • 空中線電力20W以下で30MHzを超える周波数を使用するもの

ができます。

このため、航空関係の無線設備だけでなく、一定範囲のアマチュア無線局も扱うことができます。

ただし、無線設備を実際に使うためには、無線従事者免許だけでなく、原則として無線局の免許も必要です

無線従事者免許は「その無線設備を操作できる人であること」を示す免許であり、無線局免許は「その無線設備を電波を出して使ってよいこと」を示す免許です。

自動車にたとえるなら、無線従事者免許は運転免許、無線局免許は車検やナンバーに近いものと考えるとイメージしやすいかもしれません。

無線設備を扱う場合は、「資格を持っているか」だけでなく、「その無線局が適法に免許を受けているか」も確認する必要があります。

航空無線通信士と航空特殊無線技士の違い

航空関係の無線従事者資格には、航空無線通信士のほかに「航空特殊無線技士」という資格もあります。

名前が似ているため少し紛らわしいのですが、両者は扱える無線設備の範囲が異なります。

ざっくり言えば、航空無線通信士の方が扱える範囲が広く、航空特殊無線技士は、航空無線の中でも比較的限定された範囲を扱う資格です。

資格主な操作範囲
航空無線通信士航空運送事業に使われる航空機を含む、すべての航空機に施設する無線設備の操作。
航空交通管制に使われる航空局を含む、航空局・航空地球局・航空機のための無線航行局の操作など。
航空特殊無線技士航空運送事業に使われる航空機を除く航空機に施設する無線設備の国内通信操作。
航空交通管制に使われる航空局を除く航空局の国内通信操作など。

つまり、航空特殊無線技士は、主に自家用航空機などに関係する航空無線を扱う資格と考えると分かりやすいです。

一方、航空無線通信士は、航空会社のパイロットや、地上で航空無線通信に従事する人、航空交通管制に関係する人などに関係する資格です。

ジョンどぅ
ジョンどぅ

航空特殊無線技士は“航空無線の入門的な資格”、
航空無線通信士は“航空業務により深く関わる資格”というイメージですね

もちろん、どちらの資格が必要になるかは、実際に扱う無線設備や業務内容によって変わります。

そのため、単純に「航空特殊無線技士で足りる」「航空無線通信士でなければならない」と決めつけるのではなく、自分が目指している進路や、実際に操作する無線設備の範囲に合わせて確認する必要があります。

ただし、航空会社のパイロットや航空管制関係などを視野に入れるのであれば、航空無線通信士の方が関係の深い資格といえるでしょう。

航空無線通信士のメリット

航空無線通信士の概要について説明してきましたが、ここからは資格を取ることによるメリットを紹介していきます。

航空会社のパイロットや航空関係の仕事を目指す場合に関係が深い

航空無線通信士は、航空会社のパイロットや、地上で航空無線通信の業務に従事する人、航空交通管制に関係する人などに関係の深い資格です。

日本無線協会の説明でも、航空無線通信士は、航空会社のパイロット、地上で無線通信の業務に従事する人、航空交通管制の業務に従事する人などが取得する資格とされています。

特に、旅客や貨物の運送を行う航空機の場合には、航空無線通信士の資格が関係してきます。

一方で、自家用の航空機や、薬剤散布・宣伝飛行などの航空機使用事業の場合には、航空特殊無線技士が関係するケースもあります。

そのため、一口に「パイロット」といっても、どのような航空機に乗るのか、どのような業務で無線を使うのかによって、必要となる資格は変わってきます。

ジョンどぅ
ジョンどぅ

航空無線通信士は、特に航空会社や航空管制など、より本格的に航空無線へ関わる人向けの資格というイメージですね

航空業界を目指す場合はもちろん、航空無線や管制通信に興味がある人にとっても、航空無線通信士は目標にしやすい資格の一つだと思います。

この資格試験を受けに来る人のほとんどは航空業界関係者、特にパイロットの卵が多いようです。

ちなみに、自衛隊に入ってパイロットになるという方法もありますが、自衛隊の場合は電波法の免許要件が適用除外になるため、この資格がなくても航空機の運航ができるようです。

ジョンどぅ
ジョンどぅ

自衛隊の場合、代わりに部内専用の無線従事者免許が発行されるようですね。

航空無線や管制通信への理解が深まる

航空無線通信士を取得するメリットは、単に資格として使える範囲が広がることだけではありません。

試験勉強を通じて、航空無線や管制通信の仕組みについて理解を深められる点も大きなメリットです。

航空無線通信士の試験科目には、無線工学、法規、英語、電気通信術があります。

無線工学や法規は他の無線従事者試験にも共通する部分がありますが、航空無線通信士では、そこに英語と電気通信術が加わります。

特に電気通信術では、欧文通話表、いわゆるフォネティックコードを使った聞き取りや送話が求められます。

ジョンどぅ
ジョンどぅ

Alpha、Bravo、Charlie……というあれですね。
航空無線らしさを一番感じる部分かもしれません

航空無線では、正確で聞き間違いの少ない通信が重要になります。

そのため、試験勉強を進めていくと、単に無線機を操作する知識だけでなく、航空通信でなぜ決まった表現や通話方法が使われるのかも少しずつ見えてきます。

パイロットや航空関係の仕事を目指す人はもちろん、航空無線や管制通信に興味がある人にとっても、航空無線通信士の勉強は知識の幅を広げるきっかけになると思います。

4級アマチュア無線技士相当のアマチュア無線局が扱える

航空無線通信士の操作範囲には、4級アマチュア無線技士相当の操作も含まれています。

そのため、航空関係の無線設備だけでなく、一定範囲のアマチュア無線局の無線設備も操作することができます。

ただし、あくまで4級アマチュア無線技士相当の範囲であるため、アマチュア局のすべての無線設備を自由に扱えるわけではありません。

具体的には、モールス符号による通信操作は含まれず、扱える周波数や空中線電力にも制限があります。

ジョンどぅ
ジョンどぅ

航空無線通信士を取ればアマチュア無線も何でもできる、
というわけではない点には注意が必要ですね

また、実際にアマチュア無線を運用する場合には、無線従事者免許だけでなく、無線局免許も必要です

無線従事者免許は「その無線設備を操作できる人であること」を示す免許であり、無線局免許は「その無線設備を使って電波を出してよいこと」を示す免許です。

そのため、航空無線通信士を取得しただけで、すぐにアマチュア無線機から電波を出せるわけではありません。

とはいえ、航空無線通信士の資格にアマチュア無線の操作範囲が一部含まれているのは、無線資格として見ると面白いポイントです。

航空無線をきっかけに、アマチュア無線の世界にも興味を広げるきっかけになるかもしれません。

航空無線通信士のデメリット

メリットに続いてデメリットも書いていきます。と言っても、取得して悪いことがあるわけではなく、受けるに際して「ここはちょっと…」というところを重視して書いています。

航空分野に関心がないと活かしどころが限られる

航空無線通信士は、名前のとおり航空分野にかなり寄った無線従事者資格です。

そのため、航空会社のパイロットや航空関係の仕事を目指している人、航空無線や管制通信に興味がある人にとっては魅力のある資格ですが、航空分野にまったく関心がない場合は、取得しても活かしどころが限られるかもしれません。

ジョンどぅ
ジョンどぅ

無線資格としては面白いですが、使い道はかなり航空寄りです

もちろん、無線工学や法規の知識を深めるという意味では無駄になるわけではありません。

ただ、実用性だけを考えるなら、自分がどのような無線設備を扱いたいのか、どの分野で資格を活かしたいのかを考えたうえで受験する方がよいでしょう。

「航空業界にはかかわる予定はないけど、4級アマチュア無線技士の操作範囲目当てで受ける」というのであれば、素直にアマチュア無線技士を単体で受けた方が手っ取り早いです。

ジョンどぅ
ジョンどぅ

あとはまあ、名前のカッコよさ(?)に惹かれるとかでもなければ…?

英語や電気通信術の対策が必要になる

航空無線通信士の試験では、無線工学や法規だけでなく、英語と電気通信術も出題されます

この点は、他の無線従事者試験と比べても少し独特です。

特に電気通信術では、欧文通話表を使った受話と送話が求められるため、単に参考書を読んで暗記するだけでは対策しにくい部分があります。

英語についても、航空無線らしい表現やリスニング要素が含まれるため、無線工学や法規とは違った準備が必要になります。

ジョンどぅ
ジョンどぅ

無線の試験でありながら、英語と実技的な要素が入ってくるところが航空無線通信士らしいところです

そのため、無線工学や法規だけで勝負できる資格と比べると、少し対策の幅が広い試験だといえるでしょう。

受験日程や受験場所の自由度が高くない

航空無線通信士試験は、いつでも好きなタイミングで受験できる試験ではありません。

例年、試験は8月期と2月期の年2回実施されます。
試験は2日間あり、しかも平日に実施されることが多いです。

そのため、受験を考える場合は、申請期間や試験日程を早めに確認しておく必要があります。

また、受験地も限られているため、住んでいる地域によっては試験会場までの移動が必要になります。

ジョンどぅ
ジョンどぅ

私の場合も、試験を受けるために東京まで出る必要がありました

仕事や学校の予定と重なると受験しづらくなる可能性もあるため、航空無線通信士を受ける場合は、試験日そのものだけでなく、申請期間や移動の予定も含めて準備しておくのがおすすめです。

航空無線通信士試験の難易度

航空無線通信士の試験では、無線工学、法規、英語、電気通信術の4科目を受験します。

無線従事者試験らしい無線工学と法規に加えて、英語と電気通信術がある点が、航空無線通信士試験の大きな特徴です。

科目内容
無線工学無線設備や電波に関する基礎的な知識を問う科目
法規電波法や無線従事者制度、航空無線に関するルールを問う科目
英語筆記試験に加え、英会話の試験も行われる科目
電気通信術欧文通話表を使った受話・送話を行う実技的な科目

それぞれの詳しい内容は次の記事で記載しますが、合格点は以下のとおりです。

無線工学 70点満点中49点

法規 100点満点中70点

英語 105点満点(筆記70点、英会話35点)中60点
ただし、英会話の点数が15点に満たない場合不合格

電気通信術 送信、受信ともに100点満点中80点

一般的な合格率は30~40%程度で推移しているようです。

簡単とまでは行きませんが、しっかり勉強して臨めば合格することは十分可能なレベルです。

なお、この試験には科目合格制度もあり、合格点を取っていた科目は試験日翌月から起算して3年以内の試験では申請により免除を受けることが可能です。

一発合格が厳しいようであれば、科目合格で少しずつ攻略していくのもアリでしょう。


さて、航空無線通信士について、以上のとおりまとめてみました。

次の記事では、私が実際に受験した時の体験記を書いていこうと思います。

ジョンどぅ
ジョンどぅ

え、なんで私が航空無線通信士なんて受けたのかって?
まあ、色々あるのですよ。

続きの記事はこちらからどうぞ。

今回の所はこの辺で。

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