ビジネスにおいて重宝されやすいスキルの一つとして、ITスキルが挙げられます。
最近では、IT企業に限らず、一般企業の事務職や管理部門であっても、業務効率化、情報セキュリティ、データ活用などに関する知識が求められる場面が増えています。
私自身も、もともとはIT系の専門職というわけではありませんでしたが、仕事やブログ運営を通じて、ITに関する知識を持っていることの重要性を感じる場面が何度もありました。
そこで、一定レベル以上のIT知識を幅広く身につけるために受験したのが、応用情報技術者試験です。
この記事では、私が2021年秋季試験で応用情報技術者試験を受験した当時の経験をもとにしつつ、現在の試験制度の変更点にも触れながら、応用情報技術者試験の概要について書いていきます。
なお、応用情報技術者試験は2026年度からCBT方式での実施に移行予定となっており、2021年当時とは受験方式が変わりつつあります。
また、2027年度以降は情報処理技術者試験全体の制度見直しも予定されているため、これから受験を考えている方は、IPAの公式情報もあわせて確認することをおすすめします。
IPAが主催する情報処理技術者試験のレベル3
応用情報技術者試験は、情報処理推進機構(Information-technology Promotion Agency=略してIPA)が開催する情報処理技術者試験の一つです。
情報処理技術者試験は、ITに関する知識や技能を客観的に評価する国家試験です。
ITパスポート試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、さらに高度試験と呼ばれる各専門分野の試験など、複数の試験区分が設けられています。
IPAでは下記の通り様々な資格試験を開催しています。

(出典:情報処理推進機構の試験概要ページ)
各資格によって「共通キャリア・スキルフレームワーク」というレベル付けをしており、そのレベルは下記のとおりです。
| レベル4 | 情報処理安全確保支援士試験 |
| システム監査技術者試験 | |
| ITサービスマネージャー試験 | |
| エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | |
| データベーススペシャリスト試験 | |
| ネットワークスペシャリスト試験 | |
| プロジェクトマネージャー試験 | |
| システムアーキテクト試験 | |
| ITストラテジスト試験 | |
| レベル3 | 応用情報技術者試験 |
| レベル2 | 基本情報技術者試験 |
| 情報セキュリティマネジメント試験 | |
| レベル1 | ITパスポート試験 |
応用情報技術者試験は共通キャリア・スキルフレームワークにおけるレベル3相当、基本情報技術者試験の上位に位置づけられる試験です。
IPAが示している対象者像では、応用情報技術者試験は「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」を対象としています。
ざっくり言えば、単にITの基礎知識を知っているだけでなく、システム開発、ネットワーク、データベース、セキュリティ、マネジメント、経営戦略などを幅広く理解し、実務に応用できるレベルを目指す試験といえます。
私が受験した2021年秋季試験の時点では、応用情報技術者試験は春期・秋期の年2回、紙の試験として実施されていました。
午前試験は四肢択一のマークシート形式、午後試験は記述式で、午前・午後ともに150分の試験でした。
一方で、2026年度からはCBT方式、つまり試験会場のパソコンを使って解答する方式に移行予定です。
ただし、2026年度時点では、試験で問われる知識・技能の範囲、出題形式、出題数、試験時間そのものは変更なしとされています。
そのため、私が受験した2021年当時とは受験方式こそ変わるものの、応用情報技術者試験が「ITに関する幅広い応用知識を問う試験」であるという基本的な位置づけは、大きく変わっていないと考えてよいでしょう。
もっとも、2027年度以降は情報処理技術者試験全体の制度見直しが予定されています。
現行の応用情報技術者試験や高度試験は、将来的に「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」として、マネジメント、データ・AI、システムの3領域に再編される方向で検討されています。
そのため、これから応用情報技術者試験を受験する場合は、受験年度によって試験方式や制度上の位置づけが変わる可能性がある点には注意が必要です。
基本情報技術者試験との違い
応用情報技術者試験とよく比較される試験として、基本情報技術者試験があります。
基本情報技術者試験は、応用情報技術者試験の一つ下に位置づけられる試験です。
名前のとおり、ITに関する基本的な知識や技能を問う試験であり、ITエンジニアを目指す人や、ITに関する基礎力を身につけたい人にとって、登竜門のような位置づけの試験といえます。
私も、応用情報技術者試験を受ける前に、基本情報技術者試験に合格しています。
基本情報技術者試験では、コンピュータの仕組み、ネットワーク、データベース、セキュリティ、アルゴリズム、マネジメント、経営戦略など、ITに関する幅広い分野が出題されます。
この点は応用情報技術者試験も同じです。
ただし、応用情報技術者試験では、基本情報技術者試験よりも一段深い理解が求められます。
特に午後試験では、単に用語を知っているだけではなく、問題文を読み取り、状況に応じて考え、記述式で解答する力が必要になります。
基本情報技術者試験が「ITの基本を一通り理解しているか」を確認する試験だとすれば、応用情報技術者試験は「その知識を実務に近い形で応用できるか」を問う試験といえるでしょう。
また、受験方式にも違いがあります。
現在の基本情報技術者試験は、CBT方式で年間を通じて随時実施されています。
試験は科目A試験と科目B試験に分かれており、科目AではIT全般の基礎知識、科目Bではアルゴリズムや情報セキュリティなどが問われます。
一方、私が受験した2021年秋季の応用情報技術者試験は、春期・秋期の年2回実施される紙の試験でした。
午前試験は四肢択一のマークシート形式、午後試験は記述式で、午前・午後ともに150分の試験でした。
2026年度からは応用情報技術者試験もCBT方式へ移行予定ですが、試験で問われる知識・技能の範囲、出題形式、出題数、試験時間は従来と同様とされています。
そのため、今後は基本情報技術者試験も応用情報技術者試験もCBT方式で受験する形になりますが、試験の性格は大きく異なります。
基本情報技術者試験は、ITの基礎を固める試験。
応用情報技術者試験は、その基礎をもとに、より実務的・応用的な知識を確認する試験。
このように考えると、両者の違いがわかりやすいと思います。
個人的には、いきなり応用情報技術者試験を受けるよりも、まず基本情報技術者試験でITの基礎を固めてから、応用情報技術者試験に進む方が取り組みやすいと感じました。
もちろん、すでに実務経験がある人や、大学・専門学校などで情報系の勉強をしてきた人であれば、最初から応用情報技術者試験を目指すことも十分可能です。
ただ、私のようにIT専門職ではない立場から受験する場合は、基本情報技術者試験で土台を作ってから応用情報技術者試験に進む方が、理解しやすいのではないかと思います。
応用情報技術者試験を受けるメリット
応用情報技術者試験を合格することによって得られるメリットを考えてみました。広範な知識を得られる以外にも、他の試験における科目免除があったりと、なかなかに有用なメリットが多いです。
ITに関する広範な知識を得ることができる
応用情報技術者試験では主に下記の勉強が必要になります。
- 基礎理論
- コンピュータシステム
- 技術要素
- 開発技術
- プロジェクトマネジメント
- システム戦略
- 経営戦略
- 企業と法務
そのため、試験勉強を通じて、ITに関する知識を体系的に整理することができます。
私自身、IT系の専門職として働いているわけではありませんが、仕事でシステムや情報セキュリティに関する話に触れる場面はあります。
そのような場面で、応用情報技術者試験の勉強を通じて得た知識が役に立つことは少なくありません。
もちろん、応用情報技術者試験に合格したからといって、すぐに高度なシステム開発ができるようになるわけではありません。
しかし、ITに関する基本的な用語や考え方を理解していることで、専門部署や外部業者との会話がしやすくなったり、システムに関する説明を受けたときに内容を理解しやすくなったりします。
IT企業で働く人にとっては、基本情報技術者試験の次に目指す資格として、実力を示しやすい試験だと思います。
また、IT企業以外で働く人にとっても、ITリテラシーや情報セキュリティに関する知識を客観的に示せる資格として意味があります。
最近では、どのような業種であっても、業務のデジタル化や情報管理と無関係ではいられません。
その意味では、応用情報技術者試験は、ITエンジニアだけでなく、事務職、管理部門、企画職など、幅広い職種にとって役立つ資格といえるでしょう。
また、応用情報技術者試験は国家試験であり、知名度も比較的高い試験です。
履歴書や職務経歴書に書いたときにも、ITに関する一定以上の知識を持っていることを示しやすい資格だと思います。
特に、IT専門職ではない人が応用情報技術者試験に合格している場合、業務に必要な範囲を超えてITを学んでいることのアピールにもなります。
資格そのものが直接仕事に結びつくとは限りませんが、ITに関する基礎力と学習意欲を示す材料としては、十分に価値がある試験だと感じています。
上位試験の科目免除が受けられる
もう一つのメリットとして、高度試験への足がかりになる点も挙げられます。
現行制度では、応用情報技術者試験に合格すると、その後一定期間、高度試験や情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験が免除されます。
高度試験を受ける場合、午前Ⅰ試験の対策まで含めると負担が大きくなります。
そのため、応用情報技術者試験に合格して午前Ⅰ免除を受けられることは、次の試験に進むうえで大きなメリットになります。
私の場合も、応用情報技術者試験に合格したことで、その後の情報処理安全確保支援士試験を受ける際に午前Ⅰ試験の免除を受けることができました。
この点は、応用情報技術者試験を単独の資格として見るだけでなく、その先の高度試験につながる資格として見るうえでも大きな魅力だと思います。
他資格試験等の科目免除が受けられる
応用情報技術者を取得することで科目免除を受けることのできる資格があります。これは基本情報技術者試験までにはないメリットとも言えます。科目免除が使えるのは下記の試験です。
- 弁理士試験(理工V・情報)
- 中小企業診断士(経営情報システム)
今のところ、この免除に関しては有効期間はないようです。どちらの資格も高難易度ですがその分高レベルな資格ですので、チャレンジしてみるのもいいでしょう。
このメリットについても基本情報技術者にはないものです。
応用情報技術者試験のデメリット
応用情報技術者試験には多くのメリットがありますが、当然ながらデメリットや注意点もあります。
独占業務はない
まず、応用情報技術者試験に合格したからといって、それだけで特定の業務ができるようになるわけではありません。
弁護士や税理士、電気工事士のように、資格がなければできない独占業務があるわけではないため、資格そのものが直接仕事に結びつくとは限りません。
応用情報技術者試験は、あくまでITに関する知識や技能を一定レベル以上持っていることを示すための試験です。
そのため、実務で評価されるためには、資格に加えて、実際にどのような業務経験があるのか、どのような成果を出してきたのかも重要になります。
特にIT企業で働く場合、応用情報技術者試験は知識の証明として評価されやすい資格だと思います。
一方で、資格を持っているだけで即戦力として扱われるわけではありません。
システム開発、インフラ構築、セキュリティ対応など、実務で必要になるスキルは、試験勉強だけで身につくものではないからです。
試験難易度は高い
高評価が得られる試験の宿命ではありますが、応用情報技術者試験においては幅広い分野の知識が必要になるぶん、試験の難易度は高めです。
ただパソコンに強いだけだと試験に太刀打ちするのは難しいです。
午後試験は科目選択にできるため、ある程度苦手な科目を回避することも可能ですが、午前試験は全ての範囲から出題されるため、満遍なく抑えておく必要があります。
また、下位レベル試験においては回答が全て多岐選択方式であったため、最終的には運を天に任せる戦術も使うことができましたが、応用情報技術者試験は午前中が多岐選択で、午後は記述式になります。そのため、ある程度の論述力も必要になります。
こういった要因から難しい試験として見られやすく、合格率は約20%とされているようです。基本情報技術者と比べてそこまで変わらないように思えるかもしれませんが、応用情報技術者試験の受験者層は基本情報技術者レベルの知識を既に持っている前提である人が多いことを踏まえると、未経験で受験をするならば、実際の合格率は更に低く見積もったほうがいいでしょう。
合格に必要な勉強時間は、未経験者でおおよそ500時間、基本情報技術者試験合格者や実務経験者といった基礎知識のある人で200時間程度と言われています。
IT企業以外からの評価はそれほどでもない
IT企業以外で働く場合も、応用情報技術者試験の知名度や評価は職場によって差があると思います。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験を知っている人であれば、ある程度評価してもらえるかもしれません。
しかし、IT系の資格に詳しくない職場では、資格名だけで価値を理解してもらうのは難しい場合もあります。
この点は、応用情報技術者試験に限らず、専門性のある資格全般にいえることかもしれません。
有効期限はないが、勉強をサボると知識が陳腐化する
IT分野は技術の変化が早いという点にも注意が必要です。
応用情報技術者試験で学んだ内容は、ITの基礎として長く役立つものが多いです。
しかし、クラウド、AI、セキュリティ、データ活用などの分野は、実務の世界では日々変化しています。
そのため、応用情報技術者試験に合格した後も、必要に応じて新しい情報を学び続ける姿勢は必要になります。
また、これから受験する人は、試験制度の変更にも注意が必要です。
私が受験した2021年秋季試験では、応用情報技術者試験は紙の試験として実施されていました。
しかし、2026年度からはCBT方式での実施に移行予定となっています。
出題形式や試験時間などは従来と同様とされていますが、パソコン上で解答する方式になるため、紙の問題用紙に直接メモを書き込むような感覚とは異なる可能性があります。
さらに、2027年度以降は情報処理技術者試験全体の制度見直しも予定されています。
そのため、これから受験を考えている場合は、過去の受験体験記だけで判断せず、IPAの公式情報で最新の試験方式や制度を確認しておくことが大切です。
応用情報技術者試験は、合格すれば大きな達成感のある試験です。
ただし、資格を取っただけで終わりにするのではなく、そこで得た知識を仕事や学習にどう活かすかを考えることが、より重要だと思います。

私も30年前に第2種情報処理技術者試験に合格したからIT知識はそれなりに持っているつもりだ。
ん?IPv6だって?そんなものは知らん。v4の間違いだろう!
何だこの青いUSB端子は!不良品じゃないのか!?

この人、試験合格してから勉強してないんだな…
ちなみに、第2種情報処理技術者試験とは平成12年度までの基本情報技術者試験の呼び名です。
逆に、資格を持っているのに知識が古いままであると「資格を持っているのに全然役に立たない」と大きくマイナスのイメージを植え付けることにもなりかねません。
試験に受かったからといって慢心することなく、日々進歩していくITに触れて知識のアップデートをしていきましょう。
この記事では、応用情報技術者試験の概要について書いてきました。
応用情報技術者試験は、ITに関する幅広い知識を体系的に学ぶことができる国家試験です。
ITに関する知識を広く学びたい方、基本情報技術者試験からさらにステップアップしたい方、高度試験や情報処理安全確保支援士試験への足がかりにしたい方にとって、応用情報技術者試験は十分に挑戦する価値のある試験だと感じています。
次の記事では、私が実際に2021年秋季の応用情報技術者試験を受験したときの勉強方法や、試験当日の流れについて書いていきます。
続きはコチラ
今回のところはこの辺で。



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