第3級アマチュア無線技士の資格を取得して、アマチュア無線にのめりこむこと約1年、好奇心とは恐ろしいもので、3級ではできない分野にも興味が湧いてきた結果、2級へのチャレンジを決意しました。
この記事では、第2級アマチュア無線技士の概要や、メリット・デメリットについて書いていきます。
資格の概要
第2級アマチュア無線技士(長いので以降は「2アマ」と略する場合があります)とは、電波法で定められている無線従事者資格の一つであり、簡単に言えば「ほとんどのアマチュア無線局の操作ができる免許」のことです。
法令には、以下のように記されています。
第三条(操作及び監督の範囲) 第2級アマチュア無線技士部分抜粋
e-Gov 法令検索 電波法施行令
- アマチュア無線局の空中線電力二百ワット以下の無線設備の操作

3級以下に比べるとシンプルですが、
一応補足説明をします。
「無線設備の操作」には大きく分けて「通信操作」と「技術操作」があります。
「通信操作」とは、マイクロホンを使った音声通信、モールス符号による無線電信、デジタル通信など、実際に電波を発信して行う操作のことです。
「技術操作」とは、通信操作に対応して、無線設備の調整及びこれに付随する操作です。これは無線設備についているスイッチ類の操作や電子回路の調整などが含まれています。

電源のオンオフだけでも技術操作として扱われます。
上に示しているように2アマの操作範囲では「操作」となっているため、通信操作も技術操作も包括してできるということになります。
また、3級以下では一部周波数に制限がありましたが、2アマからは周波数制限もありません。
つまるところ、2アマを持っていれば、資格上は空中線電力200W以下のアマチュア無線局について、周波数帯の制限なく操作できるということです。
ただし、実際に電波を出すには別途アマチュア局の免許が必要であり、運用できるのは免許状に記載された周波数・電波型式・空中線電力などの範囲内です。
もちろん、3級から使用できるモールス信号についても使用可能です。
2アマのメリット
ここからは、2アマを取ることのメリットを書いていきます。
下位資格である第3級アマチュア無線技士(以下、「3アマ」と書くことがあります)の比較も踏まえたメリットに焦点をあててみました。
3アマに比べて使える無線設備の範囲がさらに広くなる
2アマを取得する一番分かりやすいメリットは、3アマに比べて操作できる無線設備の範囲がさらに広くなることです。
3アマの場合、操作できるアマチュア無線局は空中線電力50W以下までですが、2アマでは空中線電力200W以下まで扱うことができます。
つまり、資格上は3アマの4倍の出力まで扱えるようになるということです。

もっとも、出力が4倍になったからといって、
飛び方が単純に4倍になるわけではありません。
電波の飛び方は、出力だけでなく、アンテナの性能、設置場所、周波数帯、電波伝搬の状態、ノイズ環境などにも大きく左右されます。
そのため、50Wから200Wになったからといって、劇的に世界が変わるというものではありません。
それでも、固定局としてしっかりとした設備を整えた場合、200Wまで扱えるという選択肢があるのは大きな魅力です。
特にHF帯で遠距離通信を狙う場合、相手局に自分の信号を少しでも安定して届けたい場面があります。そうしたときに、50Wより上の出力を選べる余地があることは、運用の幅を広げる要素になります。

普段は50Wで十分でも、“もう少し届いてほしい”という場面で
選択肢が増えるのはありがたいところです。
ただし、実際に200Wで運用するには、2アマの資格を持っているだけでは足りません。
無線局免許の内容も200Wに対応させる必要がありますし、無線機、電源、アンテナ、同軸ケーブル、SWR管理、電波障害対策なども、それに見合ったものを用意する必要があります。
また、移動する局については、2アマであっても原則として50Wまでです。
この点は1アマでも同じであり、「2アマを取ればどこでも200Wで運用できる」というわけではありません。
一方で、周波数帯の面でも2アマは3アマより有利になります。
3アマでは8MHzを超え18MHz未満の周波数帯に制限がありますが、2アマになるとこの制限がなくなり、アマチュア無線に割り当てられたすべての周波数帯を扱えるようになります。
この範囲には、DX通信で人気のある14MHz帯や、CW・デジタル通信で使われることの多い10MHz帯も含まれます。
そのため、2アマを取得すると、単に出力の上限が上がるだけでなく、使える周波数帯そのものも広がります。
ジョンどぅ「3アマでも十分楽しめますが、2アマになると“試してみたいけど資格上できない”という場面がかなり減ります。」
もちろん、実際にどこまで運用できるかは、自宅のアンテナ環境や設備、無線局免許の内容によって変わります。
それでも、資格上の制限が大きく減ることで、将来的に設備を拡張したいときや、新しい周波数帯に挑戦したいときの自由度はかなり高くなります。
3アマが「本格的にアマチュア無線を楽しむ入口」だとすれば、2アマはそこから一歩進んで、HF帯やDX通信を含めた幅広い運用に挑戦しやすくなる資格だと感じます。
10MHz帯・14MHz帯が使えるようになる
2アマを取得する大きなメリットの一つが、10MHz帯や14MHz帯を使えるようになることです。
3アマでもHF帯の運用はできますが、3アマには周波数の制限があり、8MHzを超え18MHz未満の周波数帯は操作範囲に含まれていません。
そのため、3アマのままでは10MHz帯や14MHz帯に出ることができません。

3アマでも7MHz帯や21MHz帯には出られますが、
その間にある“おいしいところ”が使えないわけです。
特に14MHz帯は、アマチュア無線の世界では国際通信、いわゆるDX通信でよく使われる代表的なバンドの一つです。
コンディションが良ければ、国内だけでなく、海外局の信号が聞こえてくることもあり、HF帯らしい遠距離通信の面白さを感じやすい周波数帯だと思います。
一方、10MHz帯は音声通信でにぎやかに交信するというより、CWやデジタル通信などで使われることが多いバンドです。
派手さは14MHz帯ほどではないかもしれませんが、電波伝搬の様子を見たり、静かに遠距離通信を狙ったりするには面白い周波数帯です。

モールス信号に興味が出てくると、
10MHz帯が使えるようになるのはかなり魅力的に見えてきます。
もちろん、2アマを取得したからといって、すぐに10MHz帯や14MHz帯で運用できるわけではありません。
実際に電波を出すには、その周波数帯に対応した無線機やアンテナを用意し、無線局免許の内容も対応させる必要があります。
また、14MHz帯はDX通信で人気がある分、国内交信中心のV/UHF帯とは雰囲気が異なる場面もあります。
英語での交信、コンテスト、短いレポート交換など、最初は少し敷居が高く感じるかもしれません。
それでも、使える周波数帯が増えるということは、アマチュア無線の楽しみ方そのものが広がるということです。
3アマでは出られなかった10MHz帯・14MHz帯に出られるようになることは、2アマを取得する分かりやすいメリットの一つだと思います。
無線工学の理解が一段深まる
2アマを目指すメリットとして、個人的に大きいと感じるのが、無線工学の理解が一段深まることです。
3アマまででも、無線設備や電波に関する基本的な知識は問われます。
ただ、2アマになると、送信機・受信機・アンテナ・電波伝搬・変調方式・測定器・回路計算など、もう少し踏み込んだ内容が出てきます。

3アマまでは“覚える”要素が強めでしたが、
2アマでは“なぜそうなるのか”を考える場面が増えた印象です。
実際に無線機を触っていると、試験勉強で出てくる内容が意外と現実の運用につながっていることに気づきます。
たとえば、SWRが高いときにアンテナや同軸ケーブルの状態を疑ったり、HF帯で時間帯や季節によって聞こえる局が変わる理由を電離層の性質と結びつけて考えたり、回り込みやノイズの原因を配線や接地、フェライトコアの使い方とあわせて考えたりする場面があります。
こうしたことは、資格がなくても経験を積めば少しずつ分かってくる部分ではあります。
しかし、2アマの勉強を通じて体系的に知識を入れておくと、無線機を操作していて何か問題が起きたときに、単に「調子が悪い」で終わらせず、原因を考える手がかりが増えます。
特にHF帯に出るようになると、V/UHF帯とは違って、アンテナ、電波伝搬、ノイズ、接地、回り込みなど、考えることが一気に増えてきます。
そのときに、2アマの勉強で得た知識があると、無線機やアンテナをただのブラックボックスとして扱うのではなく、「今、自分の設備で何が起きているのか」を少しずつ理解できるようになります。

試験勉強中は面倒に感じる計算問題も、実際の運用とつながると急に面白くなってきます。
もちろん、2アマを取ったからといって、すぐに無線工学を完全に理解できるわけではありません。
それでも、アマチュア無線を長く楽しむうえでは、単に交信できる範囲が広がるだけでなく、無線そのものをより深く楽しめるようになるという点も、2アマ取得の大きなメリットだと思います。
免許交付者が総務大臣である
あらかじめ言っておきますと、ほとんど自己満みたいなメリットです。
3級以下のアマチュア無線技士は、各地域を管轄する総合通信局長(沖縄総合通信事務所長含む)によって免許が交付されています。
これは、電波法施行規則に基づき、総務大臣から総合通信局長に権限が委任されていることによるものです。
このため、従事者免許の右下にある署名は、免許を交付した総合通信局長となっています。
電波法施行規則第五十一条十五 権限の委任 抜粋
法に規定する総務大臣の権限で次に掲げるものは、所轄総合通信局長(沖縄総合通信事務所長を含む。以下同じ。)に委任する。
第1項第2号の3
e-Gov 法令検索 電波法施行規則
法第四十一条第一項、第四十二条及び第四十五条の規定に基づく総務大臣の権限であつて、第一級海上特殊無線技士、第二級海上特殊無線技士、第三級海上特殊無線技士、レーダー級海上特殊無線技士、航空特殊無線技士、第一級陸上特殊無線技士、第二級陸上特殊無線技士、第三級陸上特殊無線技士、国内電信級陸上特殊無線技士、第三級アマチュア無線技士及び第四級アマチュア無線技士の資格に関するもの。
一方で、2アマ以上になると免許の付与者が総務大臣になり、免許右下の署名も総務大臣となります。
他に総務大臣から免許をされるのは各通信士や無線技術士といった上級資格ですから、何となく優越感が得られます。

もっとも、それ以上に何か特別なメリットが
あるわけではないですが。
2アマのデメリット
続いては、2アマのデメリットを書いていきます。
もちろん、資格を取ること自体で不利益を被るわけではありません。
資格を取っても設備環境がなければ恩恵を感じにくい
2アマのデメリットというより注意点に近いですが、資格を取っただけでは、そのメリットをすぐに活かせるとは限らないという点は意識しておいた方がよいと思います。
2アマを取得すると、資格上は200W以下の無線設備を操作できるようになり、3アマでは使えなかった10MHz帯や14MHz帯も扱えるようになります。
しかし、実際にその範囲を活かせるかどうかは、無線機やアンテナ、設置場所、周囲のノイズ環境などに大きく左右されます。

資格が上がったからといって、
アンテナが急に高性能になるわけではありません。
特にHF帯では、アンテナ環境の影響がかなり大きいです。
たとえば、固定局として200Wまで出せる資格があったとしても、それに対応した無線機や電源、アンテナ、同軸ケーブルなどを用意しなければ実際には運用できません。
また、集合住宅や住宅密集地では、大きなアンテナを設置することが難しかったり、近隣への電波障害を気にする必要があったりします。
さらに、10MHz帯や14MHz帯に出たい場合も、その周波数に対応したアンテナが必要です。
無線機が対応していて、資格上も操作できるとしても、アンテナが合っていなければ十分に電波を出すことはできません。

結局のところ、アマチュア無線は“資格・無線機・アンテナ・設置環境”が
そろって初めて本領を発揮する趣味だと感じます。
もちろん、だからといって2アマを取る意味がないわけではありません。
資格を取得しておけば、後から設備を整えたときにすぐに運用の幅を広げることができますし、将来的に固定局を強化したり、DX通信に挑戦したりするための準備にもなります。
ただ、2アマを取ればすぐに通信距離が劇的に伸びる、海外局と簡単につながる、200W運用がすぐできる、というわけではありません。
資格によって広がるのは、あくまで「できることの上限」です。
その上限をどこまで活かせるかは、実際の設備環境によって変わってきます。
そのため、2アマを目指す場合は、資格取得そのものをゴールにするというより、今後どのような運用をしてみたいのか、そのためにどんな設備が必要なのかをあわせて考えておくと、取得後の満足度も高くなると思います。
営利業務用途には使えない
これは2アマに限った話ではなく、3アマの記事にも同じことを書いてますが再掲します。
アマチュア無線技士が取り扱える「アマチュア無線局」とは、電波法の中では「個人的な趣味によって無線通信を行うために開設する無線局」と示されています。
また、アマチュア無線局に許可される業務は「アマチュア業務」となっており、これは電波法施行規則において「金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究その他総務大臣が別に告示する業務を行う無線通信業務」とされています。
そして、電波法では以下のように目的外使用を禁止しています。
第五十二条(目的外使用の禁止等)
無線局は、免許状に記載された目的又は通信の相手方若しくは通信事項(特定地上基幹放送局については放送事項)の範囲を超えて運用してはならない。
ただし、次に掲げる通信については、この限りでない。
- 遭難通信(船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥つた場合に遭難信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
- 緊急通信(船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥るおそれがある場合その他緊急の事態が発生した場合に緊急信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
- 安全通信(船舶又は航空機の航行に対する重大な危険を予防するために安全信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
- 非常通信(地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるときに人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために行われる無線通信をいう。以下同じ。)
- 放送の受信
- その他総務省令で定める通信
アマチュア無線局の免許では、アマチュア無線局とのアマチュア業務以外の通信を行うことは原則できません。
例外的にアマチュア無線局が使えるケースは、上にも書いているような非常時の通信であったり、「その他総務大臣が別に告示する業務」として非営利の社会貢献活動での活用などがあります。こちらは使用前にしっかりと確認してください。
アマチュア無線を営利業務目的で使用することは違法です。
もし違反した場合、刑事罰の対象となる可能性があるほか、無線局免許や無線従事者免許の停止・取消しといった行政処分を受ける可能性があります。
無線機をオンにしているとトラックやダンプのドライバーと思われる人の通信が聞こえてくることがあります。
これは通信に関係する全員が無線従事者免許と無線局免許を取得したうえ、定められた周波数で定められた要領に基づいて営利業務に関係ない雑談をする分には問題ありませんが、コールサインを言わなかったり業務連絡に使うとアウトな行為になります。

なお、業務通信とばれないように暗語や隠語などを使うこともあるようですが、そもそもアマチュア業務においては暗語の使用自体が法で禁止されています。
総合通信局のHPを見ていると、毎月のように違反者の処分に関するお知らせが出ているのを目にします。
大体のケースは、「無線従事者免許は持っているが、無線局免許を得ないまま無線局を開設したもの」が多いように見受けられます。
就職などにはほぼ役立たない
2級になれば試験の難易度も上がり、それなりの知識を求められますが、あくまで趣味のための資格であって、業務で活用することはできず、就職活動や転職活動で役立つ可能性は3級と同じく、低いと考えられます。
もし同じ趣味の方が面接官などでいれば有利に働くかもしれませんが、あまり期待はしない方がいいでしょう。
就職活動や転職活動に使いたいのであれば、業務で無線が使用できる無線通信士や無線技術士、特殊無線技士の資格取得を検討してください。
指定された会場で筆記試験の受験が必要
2アマにはeラーニング養成課程による取得ルートもありますが、この記事では私が受験した国家試験ルートを前提に説明しています。
3アマ以下の試験は各地で随時CBTによる受験が可能でしたが、2アマ以上は指定された時期に指定された試験場に出向き、筆記試験を受ける必要があります。
試験回数は原則として年2回であり、3アマ以下に比べると受験のチャンスは限られてきます。
その分、受験するとなれば計画的な準備が必要となります。

なお、年度によっては臨時試験が行われる場合もあります。
詳しくは日本無線協会の最新日程を確認してください。
2アマ試験の難易度
2アマの試験では、「無線工学」と「法規」の2科目が出題されます。
合格点は無線工学では125点満点に対し87点以上、法規は150点満点に対し105点以上です。
ちなみに、3級以上のアマチュア無線技士試験ではモールス符号に関する電気通信術の試験がありましたが、3アマでは平成17年以降、平成23年以降は2・1級からも電気通信術試験が廃止され、法規の科目内でモールス符号の理解に関する問題が出題されるようになりました。
一般的な合格率は50~55%程度で推移しており、当然ながら3アマに比べると難易度が上がっています。
科目合格制度はありませんので、受験する際はしっかりと準備しましょう。
さて、以上のとおり第2級アマチュア無線技士試験についてまとめてみました。
次の記事では私の受験体験記を書いていきます。
今回のところはこの辺で。


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